夏も近づく?八十八夜を迎えた初夏だからこそ気をつけたいことは
2021年05月02日
立春から数えて88日目、それが「八十八夜」。今年は昨日5月1日でした。何故この88日目が特別な日なのでしょうか。そんなことは考えたこともなく自然に受け入れてきました。二十四節気以外に使われる暦の雑節のひとつですが、昔の人が生活の中で積んだ経験から「この日」と選んだに違いありません。明るい光の中で鶯の囀りがひときわ響く爽やかな季節を喜びながら、88日目の理由について持った素朴な疑問から「八十八夜」を繙いてみませんか。
すべての基準は「立春」から、春の意味するものは?
旧暦、太陰太陽暦では15日が必ず満月になる、と言うように月の盈ち虧けによりひと月が巡ります。しかしそれだけでは太陽の運行により変化する季節とのずれがでてしまう理由から、太陽暦も取り入れられました。このため1年が12ヶ月であったり、閏月の入った13ヶ月になったり1年の日数が定まりません。春夏秋冬を正しく感じられるために取り入れられたのが、季節の変化を太陽の動きとともに表している二十四節気です。
その始まりに置かれたのが「立春」。新たな年が明けて春の季節が始まる日としています。「八十八夜」は春になっておよそ3ヶ月、冬の寒さを越えてきた日々といえるでしょう。雪や氷が解け新しい命を育む土壌の準備がようやく整ってきたのです。桜をはじめ花が咲き鳥の啼き声に耳を傾けながら、すこしずつ温かくなっていく季節の移り変わりを体感し、爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込んで迎えるこの日は、いよいよ秋の収穫に向けた農作業の始まり、というわけです。春の始まりはこの「八十八夜」に向かってあったとも言えましょう。
唱歌に歌われるように、茶摘みが最盛期を迎えるのも「八十八夜」頃とのこと。「茜襷(あかねだすき)に菅(すげ)の笠」は観光用にしか見られなくなりましたが、緑の茶畑と青空に映え初夏を感じさせる美しい風情は残したいものですね。
「忘れ霜」5月になったのにまだ霜が降りることがあるの?
毎日自然に向き合って働く人々にとって「立春から今日で何日目だ」という数え方の方がより具体的で実用的だったのではないでしょうか。
さあ「八十八夜」を迎えていよいよ始まる農作業は陽気もよくなり嬉しい時ですが、大きな落とし穴があることを警告しています。それが「八十八夜の忘れ霜」です。初夏を思わせる晴れ渡った天気にすっかり霜のことなど忘れてしまっていますが、日中気温が上がった日の翌朝は放射冷却による冷えこみが起こり易くなり、突然降りる霜はせっかくの農作業を台無しにしてしまうのです。
二十四節気を開いてみると晩春、「穀雨」の次候に「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」と出ています。すでに季節としては霜は終わりを迎えています。しかし行きつ戻りつしながら進むのが季節です。気のゆるむことがないように注意を払いなさいという「八十八夜」の大きな意味を感じます。この時を注意して過ごせば霜も終わり、苗もすくすくと成長していくことでしょう。
新茶の美味しさを手軽に味わうために!
今ではペットボトルで手軽に美味しいお茶が飲めるようになりました。種類もさまざま。少し濃いめから抹茶入りまで、食べるものに合わせて味わいを選ぶこともできます。
お茶はほんのり甘味があると苦味が抑えられ、うま味が引き立つように感じます。美味しいお茶をいれるために一番大切なのはお湯の温度とよくいわれますが、最近お茶の先生をされている方から実は私はそれが一番美味しいと思っているの、とお墨付きをいただいたのが「水出し」です。冷たい水で時間をかけて作ったお茶は渋味が出ないからでしょうか、うま味と甘味が味わえます。美味しくいただくためのコツは多めの茶葉とのこと。お湯でいれた時に立ちのぼる香りの高さが望めないのは、少し残念なことですが。
夏に向かって水出しのお茶を作り置きしておくと、疲れて家に帰り着いた時などにとても便利です。冷たいものはどうも苦手、という方は温めれば熱いお茶が手軽にいただけます。
家庭でも美味しさにこだわってお茶をいただきたいのですが、忙しい日常ではつい手軽な方へと身体が動きます。せっかくですから、お湯加減を自分なりに見極めて美味しいお茶に挑戦するのも素敵ですね。あなたの好みはどんなお茶でしょうか。