「国民の休日」は昭和23(1948)年に法律で定められました。「美しい風習を育て、よりよき社会と豊かな生活を築くために、祝い感謝する日」とされています。その中で「秋分の日」は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」と書かれています。亡くなられた先祖の方々をしのぶ日が法律で決められた理由は明治維新にさかのぼります。
武家の支配から天皇中心とした新しい国の体制が築かれた明治維新、宮中で「秋分の日」に行われていた歴代天皇の御霊を慰める儀式は「秋季皇霊祭」として明治41(1908)年に制定された「皇室祭祀令」に組み入れられました。これを踏まえ第二次世界大戦後、天皇を国の象徴と記した新しい日本国憲法の下、天皇とともに国民もこの日を先祖へ心をはこび過ごす日として定められたのです。
ちなみに「春分の日」は、国民に向けては「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とされていますが、皇室では秋と同じように「春季皇霊祭」が歴代天皇への慰霊の日として「皇室祭祀令」に定められています。
春と秋の季節の変わり目にお墓詣りへいく習慣は、すでに国民の生活の中にとけこんでいたこと、ゆえに法律の中に取り入れられたのかもしれませんね。
参考:
内閣府HP「国民の祝日」