世界的にはオイルやピーナッツバター、クラッシュ粉末などの加工食品や、塩炒りピーナッツなどの味付けスナックが主流なのに対し、日本では国産品の加工が軌道に乗らなかったために素材そのままに近い焙煎ラッカセイが主流になっており(『柿の種』やミックスナッツのピーナッツはほとんど輸入ラッカセイです)、それゆえに世界的に見ても突出した風味よいラッカセイが進化し続けてきました。
平成時代に入ってからは、生のままだとやわらかくて傷みやすいため、流通経路に乗らなかった希少な生ラッカセイが、冷蔵技術の進化によってスーパーなどでも出回るようになりました。八街や四街道、千葉、市原などの生産地限定の郷土の味だった「茹でラッカセイ」や「落花生ご飯」、「落花生味噌」「落花生の煮豆」などが全国的に家庭で気軽に楽しめるようになりました。あるいは、美味しい国内産ラッカセイをあえてピーナッツバターにするなど、食べ方、楽しみ方も変化に富み拡大してきています。
そうした変化にあわせて登場したのが、ゆで落花生に特化した大型粒品種「郷の香」「千葉のかほり」そして超大型粒品種の「おおまさり」です。「おおまさり」はナカテユタカにジェンキンス・ジャンボという大型種をかけあわせて作出されたもので、通常の焙煎ラッカセイの二倍の直径があります。甘みやコクも千葉半立に匹敵します。しかし焙煎には向いておらず、完全に茹でラッカセイ用に特化した品種です。
千葉県ではラッカセイ専門店が普通に商店街や街道に点在していて、「新豆入りました!」の幟が立つのを楽しみにしています。地元にとっては何の不思議もないのですが、他の都道府県では見られないもののようで、珍しがられます。千葉から遠いほど国産ラッカセイが手に入りにくいことが今まではあったようですが、近年オンライン通販を生産者や小売店が始めていて、全国からさまざまな製品を注文できるようになったようです。茹でラッカセイの季節は過ぎていますが、便利なレトルトパックも登場しています。
輸入物のスナックピーナッツも手軽でよいのですが、たまには美味しい国産品を注文して料理に利用したり家飲みのアテにしてみてはいかがでしょうか。
参考・参照
身近な薬草 婦人生活社
落花生|旬鮮図鑑全国落花生協会