植物の営為は偉大の一言に尽きます。しかし彼らは動けないので、人間が根こそぎ伐採するとなったらまったくの無力です。叫ばれている地球環境の危機に対して私たちにできることは、少なくとも身近な環境にある落ち葉を迷惑がったりまとめて燃やすことではなく、それらを土に返すことではないでしょうか。
二酸化炭素が増えれば、植物の光合成は盛んになります。つまりより繁茂し、より多くの酸素を供給し、より多くの炭素を蓄積することになるわけです。二酸化炭素が増えているにもかかわらず森林が減っているのは自然現象としては矛盾していて、言うまでもなくこれは人為的開発行為が原因です。
イチョウやスダジイ、コジイ、ケヤキやエノキが私たちの身近にあるのも、それらの樹木に優れた防火、耐震機能があり、先人たちが積極的に保護し、また移植してきた歴史があるからです。1995年に発生した阪神・淡路大震災でも、街路樹や公園樹が火災の延焼や家屋の倒壊を防ぎ、緩和させた事例が数多く見られたということです。大災害に直面した人が大樹に避難することで安心感を得たり、東日本大震災での震災遺構となった「奇跡の一本松」など、樹木がもたらす精神面での人への貢献も計り知れないものがあります。本来裸出した土に枝葉を落とし、それらを滋養とする生物たちと共生してきた樹木が、アスファルトや石畳に植えられているだけでも涙ぐましいのに、落ち葉がうっとうしい、樹冠に鳥が集まる、虫が増えるからと強剪定されているのを見るととても悲しい気持ちになります。
よく動物への虐待は問題になりますが、私たちは身近な街路樹、公園樹たちの扱いに対しても、もう少し目を向けるべきではないでしょうか。
(参考・参照)
植物の世界 朝日新聞社
環境省_自然環境局【森林対策】-世界の森林の現状温室効果ガス、大気中濃度が過去最高に 国連日本地球化学会気象庁 | 二酸化炭素濃度の経年変化