イチジクは江戸時代に中国から日本に伝わったといわれています。名前の由来は、中国の呼び名「映日果」の読み(エイジツカ)が訛ったもの、また1日ごとに1個ずつ熟す「一熟(いちじゅく)」から、などの説があります。「不老長寿の果物」といわれるほど栄養価が高く、育てやすいので昔は庭木にもよく植えられていました。つづり合わせて着るには少し頼りない葉っぱたちが、やさしい風情を醸しています。イチジクは植えた年にも実がなり、鉢やコンテナ栽培でも2年目からはそれなりの収穫が望めるのだそうです。毎日食べごろのベストタイミングでもぎとれる喜びは、家庭栽培ならでは。興味のある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ところで、アダムとエバのソーイング作品は、神さまの目にどんなふうに映ったのでしょう。全知全能の神ですから、その場で瞬時にふたりの記憶を消去することも簡単だったはず…ところが聖書を見ると、神さまはわざわざふたりのために「皮の衣」を作って彼らに着せてやった、というのです。人間が自ら思いついた創作行為を愛おしみ、これから始まる過酷な生活にヒントを与えたもうたのでしょうか? ひょっとしたら私たち人間は、自覚しているよりずっと、「自発的に生きること」を期待されている生きものなのかもしれません。
しばしば間違ったほうを選び、恥ずかしくて隠れたくなっても、美味しい果実は今年も地上でたわわに実っています。
<参考文献・サイト>
『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会(いのちのことば社)
『イリアス』ホメロス 作/呉茂一 訳(グーテンベルク21)
『育てて楽しむイチジク 栽培・利用加工』細見彰洋(創森社)
一般社団法人Jミルク オフィシャルサイト