人々が夏の星から受け取ったのは、月と同じく「涼」の風情。天の川に沿って、南の空に輝くさそり座の1等星アンタレス、同じく赤い色の火星も夏を象徴する星とされていました。夏の異名は、「朱夏(しゅか)」。五行思想では、朱色は夏を意味する色でした。
【夏の星/星涼し】
一日の終わり、見上げた空に輝く星々に涼しさを感じるさま。夜風をいっそう涼しく感じさせてくれるように煌めく星の光。
【旱星(ひでりぼし)】
夏の日照りを象徴する星。火星やアンタレスなどの赤い星。天の川沿いにあるアンタレスがひときわ輝く年は、豊作になるとの言い伝えがありました。
草枕の我にこぼれぬ夏の星 正岡子規
アラビヤの空を我ゆく夏の星 星野立子
星涼しく白樺も闇たのしめり 宮津昭彦
星涼し樅のふれあふ音かさね 星野麥丘人
水ゆれて猫の渡りし旱星 柚木紀子
二十四節気では、2022年は7月23日に大暑に入り、立秋にあたる8月7日の前日までが、一年中でもっとも気温の高い季節にあたるとされています。古来受け継がれてきた七夕の節句。今年は8月4日の星空にも注目してみませんか。
・参考文献
大野林火監修/俳句文学館編『入門歳時記』角川学芸出版、KADOKAWA
・参考サイト
国立天文台「伝統的七夕」国立天文台「暦Wiki太陰太陽暦」