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    「応援してほしい」 豪雨と新燃岳噴火がもたらした苦難 通行止めや誤情報で商店、観光農園の客足激減 キャンペーンで活路模索

    鹿児島県では8月の豪雨や霧島市での新燃岳噴火など自然災害の影響が今も続いている。直接的な被害を免れた地域でも、観光客や買い物客の減少により地域経済は大きな打撃を受けている。

    網掛橋通行止めで周辺店舗に打撃

    姶良市加治木町の網掛橋は、2025年8月の大雨の影響で護岸が決壊し、9月9日時点でも通行止めが続いている。復旧のめどは立っていない状況だ。

    災害前は1日約2万5000台の車両が通行していたという国道10号にかかる網掛橋。生活道路としても重要な役割を果たしていたが、今回の大雨では上流にかかる錦江橋も車両通行止めとなった。このため、対岸に渡るには県道を迂回するか高速道路を利用する必要があり、周辺店舗は深刻な影響を受けている。

    「加治木まんじゅう 美坂饅頭屋」で40年近く働く美坂昌徳さんは「水害前に比べると(店の前を通る車の数が)ほぼゼロに近いので、なかなかお客さんがこちらまで来てくれない。先が見えない状態なので、やっぱり不安の方が多い」と語る。そして「店の前までは車が通れるので、買いに来てもらったらうれしい」と呼びかけている。

    創業97年の老舗布団店も客足減少

    同じく網掛橋近くにある創業97年の老舗布団店「睡眠工房 川村ふとん店」では、布団の販売だけでなく、先代から受け継いだ「綿打ち機械」を使って古くなった布団に綿を補充し、再生させる布団の打ち直しをしている。しかし、通行止めの影響で客足や注文数は例年と比べて6割ほど減少しているという。

    9日に訪れた客も「通行止めが何カ所もあって、行っていいのか、通っていいのか分からなくて。いつもより遠かった」と困惑した様子だった。

    川村ふとん店の川村吉一さんは「うちも(布団の打ち直しなど)珍しいことをしているので、来てもらって気軽に話を聞きに来て、帰るときに昔からのまんじゅう屋さんとか、ふるさとの味がいっぱいあるのでいろんなところを回って応援して帰ってもらえたら」と地域全体の活性化に期待を寄せる。

    霧島市の観光農園も誤情報で客足減少

    一方、霧島市国分の春山地区の観光農園では、早い梅雨明けと猛暑の影響でブドウやナシが例年以上に甘く豊作となっている。シャインマスカットやピオーネに加え、「黒いシャインマスカット」とも呼ばれる希少品種「富士の輝」も収穫の時期を迎えている。

    しかし霧島市ではこの夏、新燃岳の噴火や豪雨など自然災害が相次いだ。国分エリアの観光農園では災害による直接の被害はなかったものの、新燃岳噴火への不安や「大雨で通行止めになった」などの誤った情報により、来場客は例年と比べて5割から6割ほど減少。熟れすぎた果物を廃棄せざるを得なかった観光農園もあったという。

    岩元農園の岩元一郎さんは「苦労して育てた果物が販売できない。やっぱり時期があるので、時期を逸してしまうと腐ってしまう。販売できないと非常に残念な気持ち」と話す。

    この状況を受け、国分観光農業振興会の7つの観光農園では「元気です!国分観光農園キャンペーン」をスタート。それぞれの農園で来場客に果物などをプレゼントする取り組みを始めた。岩元農園では10月いっぱいまでフルーツ狩りを楽しむことができるという。

    自然災害からの直接的な復旧とともに、誤った情報や通行止めによる経済的影響からの回復も、地域の大きな課題となっている。

    「応援してほしい」 豪雨と新燃岳噴火がもたらした苦難 通行止めや誤情報で商店、観光農園の客足激減 キャンペーンで活路模索

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