
2024年5月26日に福島県いわき市の繁華街で発生した火事。飲食店などが密集したエリアで燃え広がり、13棟が焼ける被害があった。火事から1年。飲食店では対策への意識が高まっている。
大規模火災の現場はいま
いわき市の火事があった現場。2025年2月にガレキの撤去は完了していて、新しい建物が1棟建っているが、その他は空き地のままだ。
2024年5月に、いわき市平字田町の繁華街で起きた火事。建物が密集していたことから鎮火までに約11時間半を要し、全焼の5棟を含む13棟が焼ける被害が出た。
全部焼けてしまうかと…
「ここで私が以前おでん屋をやっていましたね」と話すのは、この火事で店が全焼した鈴木彰浩さん。発生当時は自宅にいたが情報を聞き、急いで現場に駆けつけた。
「風が強かったので、火の勢いも煙も凄かったですし、これはこの辺一帯が、全部焼けちゃうんだろうなっていう風には感じましたけど」と当時を振り返る。
新店オープン 営業再開は3分の1
鈴木さんは5月13日に前の店があったすぐ近くに、新しく居酒屋をオープンさせた。
一方、被害があった44のテナントのうちこの地区で営業を再開しているのは、3分の1ほど。
1年前の記憶が鮮明に残るなか、あらためて防火対策の重要性を感じている。
鈴木さんは「私のお店からも火事を出さないのはもちろんなんですけど、周りの方と協力しながら、そういうものをできるだけ少なくしていければなという風には思います」と語った。
繁華街火災の教訓
一方、この火災は他のエリアにとっても大きな教訓となっている。
いわき市常磐のいわき湯本温泉の繁華街「一番町通り」約30の店が密集している。
「もし自分の店だったというと、かなり深刻に考える事がありますね」と話すのは、この場所でダイニングバーを営む小山憲治さん。万が一に備え、厨房に消火器を2台設置するようになった。
「うちもそうですけど、この隣にかなり接していますので、一度火が出てしまったら、自分の店だけでは収まらないのではないかと心配しています」と小山さんは話す。
広がる防火意識
いわき市消防本部では、平田町の火事を受け、市内の飲食店が密集しているエリアを中心に防火対策の見回りを強化。小山さんの店も2024年7月に検査を受け、改めて設備の点検などを行った。
小山さんは「火が出ますので、周りに可燃物とかは、出来るだけ置かないようにはしてます」と話す。
一日の営業終了時には、火の消し忘れや元栓の閉め忘れがないかを必ずチェック。細心の注意を払っている。小山さんは「お客様の安全と従業員の安全を考えて、必ず、火は気を付けるようにしたいと思いますね」と話す。
大きな被害がでた繁華街の火災から1年。対策の意識が広がっている。
(福島テレビ)