9月に甘くてかわいい実をつける「ヤマボウシ」。その魅力をご存じですか?

秋の空に映える鮮やかな赤い「ヤマボウシ」の実
このヤマボウシ、9月に実をつけるのですが、熊やサル、鳥たちの好物であるこの実を、私たちはあまり食べません。スーパーには並ばない、知られざる秋のフルーツ「ヤマボウシ」。その味や食べ方をご紹介します!
「ヤマボウシ」ってどんな樹?

初夏に咲く、ハナミズキに似た白い花(総苞)
日本原産、ミズキ科ミズキ属の植物で、春~夏にかけてハナミズキのような手裏剣状の白い花を咲かせます。
花びらが頭巾(ずきん)を被った法師のようだということで「ヤマボウシ」という名がついたそうですが、正確にはこれは花びらではなく、総苞(そうほう)と呼ばれる部分。本当の花びらは中心にある緑色の部分なんです。

気にしていると、意外と身近で見かけるはず!
糖度15を超えるものもあるヤマボウシの実は、甘いものに目がない熊の大好物。
今の時期、山中に落ちている熊の糞にヤマボウシの種が混じっていることも多いそうです。熊がいない街中では鳥たちが好んでついばんでいますが、私たちの身近にあるこの甘い実を放っておくのはもったいないですね!
「ヤマボウシ」の食べ方

“ヤマボウシ拾い”は秋のレジャー
ヤマボウシの実を生食する場合は、よく洗って外皮を剥き、やわらかい中身をスプーンですくって食べます。中には種が1~4個入っており、口に入れるとジャリジャリするので、種は食べないようにしましょう。また、洗った実を冷凍し、シャーベット状になった実を食べるのもおすすめです!
気になるお味は……ですが、マンゴーやバナナといった南国系フルーツに似た強い甘味があります。香りもよく酸味はあまりありませんので、小さいお子さんでも美味しく食べられます。
「ヤマボウシジャム」の作り方

簡単にできる、手づくり「ヤマボウシジャム」
ヤマボウシの難点である種をキレイに取り除けば、保存がきくうえ簡単に作れるので、気になる人はぜひトライしてみてください! 作りおきしておくと、パンにつけたり、ヨーグルトと混ぜたり、パンケーキのトッピングにしたり……と、さまさざまな用途を楽しめますよ。
では早速、「ヤマボウシジャム」の作り方をご紹介しましょう。
【用意するもの】
●ヤマボウシの実……600g ●グラニュー糖……200g ●レモン汁……大さじ1
①ヤマボウシの実を水で丁寧に洗いながら、皮のイボイボの部分を取り除く
②鍋に洗ったヤマボウシの実と砂糖を入れ、混ぜながら軽く実を潰したら、熱する前にそのまま1時間ほど置く
③鍋を弱~中火にかけ、木ベラで実を潰しながらゆっくりかき混ぜる
④沸騰後2~3分したら火を止めて、ザルでこす
⑤皮と種を取り除いた状態のものを再び鍋に移し、中火にかけ、焦げつかないよう木ベラでゆっくりかき混ぜる
⑥とろみがついたらレモン汁を加え、ひと煮立ちさせたら火から下ろす
⑦あらかじめ煮沸消毒し、乾かしておいた瓶に⑥を注ぎ、蓋をして冷蔵庫へ
はいこれで完成です!
美味しいだけじゃない! 「ヤマボウシ」の効能
── 夏の疲れが出やすいこの時期、「ヤマボウシ」の実を食べて、深まりゆく秋を健やかにお過ごしください。