なぜアメリカでベースボール人気が高まり、国技になったの?
2019年06月18日
6月19日は「ベースボール記念日」
ところが、そんな時季の明日6月19日は「ベースボール記念日」に制定されていることをご存じでしょうか?
現在の野球の基本である「3アウトで攻守交替」「3ストライクでバッターアウト」といったルールの試合が初めて行われた日を記念して6月19日になったそうですが、今回は歴史をひもときながら、ベースボールが人気スポーツになった理由に迫ります!
消防団員がつくった、ベースボールの原点
そんな1846年、現在のベースボールの基本的なルールをつくったとされているのがアレクサンダー・カートライトという人物です。ボランティアの消防団に参加していたアレクサンダーは、消防団員の仲間と、「タウンボール」というレクリエーション・ゲームを楽しんでいました。
ユニフォームも着用したゲームプレーの中で編み出されたのが、現在の野球規則の下地になっているのですが、このとき定められた基本的な内容は、
●攻撃・守備それぞれ9人
●ベースは4カ所、二塁と本塁の間、一塁と三塁の間はそれぞれ42フィート
●3アウトで攻守交替
●ファウルボール など
いずれも現代のベースボールには当たり前のルールですが、野球規則の下地を作ったアレクサンダー・カートライトの功績は高く評価され、1953年にアメリカ合衆国議会で正式に『現代野球の父』として承認されています。
クリケットではなく、ベースボールを好んだアメリカ
日本ではまだまだマイナーなクリケット
広まらなかった一説として……、
「クリケットは貴族のスポーツだから」という理由があげられるようです。
クリケットの場合、正式な試合形式だと2時間のプレータイムを3セット、さらに驚くのはプレータイムの間にランチタイムやティータイムが挟まる点にあります。貴族のスポーツらしい、なんとも優雅な時間の使い方ですね。
つまり、クリケットは上流階級の人々が、余っている時間を使う暇つぶしのスポーツという色合いが強かったのですが、一方のアメリカでは、労働者階級の人々が短時間で楽しめるスポーツを求めたため、クリケットではなく、ベースボールが愛されるようになったのではないか……といわれているのです。
ベースボールの世界的人気は……
アメリカではベースボールがメジャースポーツのひとつ
2020年の東京五輪では、開催都市提案種目として「野球」が採用されましたが、その次の2024年のパリ大会では実施されないことが、すでに決定しています。
このことからも、ヨーロッパでベースボール人気がいまだに広がっていっていない印象が十分にうかがえますね。
実は、先ほどご紹介したクリケットも、ヨーロッパでのベースボール人気に関係しているといわれています。
ヨーロッパやインドでは、クリケット競技人口のほうがベースボールよりもはるかに多く、街の路地でも子どもたちがクリケットに興じるなど、人気スポーツの地位を確立しています。このように、ベースボールよりもクリケットのほうが伝統があり、人気も高いため、ヨーロッパでなかなかベースボールが根づかないようなのです。
インドでは『巨人の星』の題材もクリケットに
サッカーに次ぐ世界第2位の競技人口を誇るクリケット
こぼれ話として「スポ根もの」の元祖といわれるマンガ『巨人の星』も、インドに上陸した際は、題材が野球からクリケットにリメイクされているそうですよ!
球を投げて打ち返して得点を競う点では共通していますが、冒頭で紹介したアレクサンダー・カートライトが考案した「タウンボール」というレクリエーション・ゲームがスタートした当時、すでにアメリカにはクリケットが輸入されていて、イギリス系の移民の間で行われていたのですが、時間がかかるクリケットよりも、短い時間で勝敗が決まるベースボールが好まれ、結果として、アメリカの国技はベースボールに……。
── アメリカ同様、日本でもベースボールは伝統ある人気スポーツのひとつですが、来年、日本代表としてどんなドリームチームが組まれるか本当に楽しみですね。
競技を楽しむ際に、今回ご紹介したベースボールとクリケットの関係性や歴史を理解しておくと、深い目線で、競技を楽しむことができそうですね!