台風10号 九州に上陸・本州縦断へ 総雨量2000ミリ超えか 甚大な災害のおそれ
台風10号 九州に接近・上陸 西日本・東日本を縦断するおそれ
気象庁は28日13時、鹿児島県(薩摩、大隅、種子島、屋久島地方)に台風を要因とする「暴風・波浪特別警報」を、16時20分には鹿児島県(薩摩地方)に「高潮特別警報」を発表しました。経験したことのないような暴風・高波・高潮のおそれがあるため最大限の警戒が必要です。
台風の進む速度がゆっくりであるため、西日本・東日本を中心に記録的な雨量となるおそれがあるため厳重な警戒が必要です。
記録的な大雨の見通し
日本気象協会独自の「JWA統合気象予測」では、31日(土)までに予想される72時間雨量が第2報より大きくなり、九州地方や四国地方の広い範囲で800mmを超え、最も多いところでは1,200mmに達すると予想されています。予想される雨量となった場合、これまでに観測された雨量の最大値との比(既往最大比※1)が150%を上回り、大きいところでは200%に達する可能性があります。日本気象協会と静岡大学牛山素行教授との共同研究の結果(※2)によると、既往最大比が100%になると犠牲者が発生しはじめ、150%を超えると犠牲者の発生数が急増する可能性があることがわかっており、災害発生危険度が極めて高いことから厳重な警戒が必要です。
※1既往最大比:解析雨量が1kmメッシュ化された2006年5月以降に観測された雨量の最大値との比のこと
※2 本間基寛,牛山素行:豪雨災害における犠牲者数の推定方法に関する研究,自然災害科学,Vol. 40,特別号,pp. 157-174,2021.
記録的な大雨 長く続く
台風10号の特徴
総雨量2000ミリ超えも 記録的大雨エリアも前回予想より広がる
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近年、降り始めからの雨量が2,000mmに達した事例として、平成23年台風第12号(紀伊半島大水害)があります。この台風では、8月30日から9月5日にかけて紀伊半島の南東部を中心に広い範囲で1,000mmを超え、一部の地域では2,000mmを超える記録的な大雨となりました。この台風により、奈良県、和歌山県、三重県をはじめ、全国で死者・行方不明者が98名となり、広い範囲で被害が生じました。とくに、降水量が多くなった奈良県、和歌山県では「深層崩壊」と呼ばれる大規模な土砂崩れが多発し、河道閉塞(土砂ダム)や道路の寸断が生じました。
今回の台風で大雨が予想されている九州南部や四国地方は、深層崩壊の頻度が高いと言われている地域に該当します。これらの地域では、降り始めからの総雨量が1,000mmを超えるおそれがあり、地すべりなどの大規模な土砂災害が発生する可能性があります。山間部を中心に、道路の寸断による集落の孤立や、河道閉塞による土砂ダムの形成などのおそれがあります。厳重に警戒してください。
台風の進路予報にはまだ幅があります。台風の進路によっては雨量の予測が大きく変化する可能性がありますので、最新の気象情報を確認してください。