北陸 台風11号は強い勢力のまま日本海へ 北陸地方への影響は?
2022年09月02日18:20
台風11号 北陸への影響は?
北陸地方の最接近のタイミングなどは幅がありますが、台風のコースとなる東シナ海や日本海は海面水温が高く、台風が勢力を維持したまま進む可能性が高くなっています。さらに、日本海に進んだ際に偏西風に乗り、急激にスピードを上げる可能性もあります。これらのことから、台風の進路の右側に当たる北陸地方では南寄りの強風や「フェーン現象」による高温や乾燥に対して注意・警戒が必要になりそうです。また、台風が予報円の東側を通った場合は台風本体の発達した雨雲がかかって大雨となる可能性もあります。
「フェーン現象」とは、水蒸気を含んだ空気が山をこえる時に雨を降らせ、その後、乾燥した空気となって山を吹きおりると、気温が高くなる現象です。北陸地方では台風や発達した低気圧が日本海を進む場合にフェーン現象になりやすくなります。台風の進路次第では極端な高温となることがあり、2020年9月3日には新潟県三条で40.4度、中条で40.0度など、9月にして40度以上の「酷暑日」となったこともあります。
北陸地方ではコメやナシなどが収穫期を迎えていますが、強風やフェーン現象による高温は、コメの高温障害による品質低下や稲の倒伏、果実の落果など農作物に大きな影響を及ぼします。最新の台風情報を常に確認し、対策を行って下さい。
過去に日本海を進んだ台風で北陸に大きな被害をもたらした事例
1991年の台風19号は、9月27日に非常に強い勢力で長崎県佐世保市の南に上陸しました。その後はスピードを上げながら日本海を北東に進み、強い勢力を維持して28日には北海道渡島半島に再上陸しました。全国的に記録的な暴風となり、特に青森県などで収穫前のリンゴの落果による被害が甚大であったため、「リンゴ台風」と名付けられました。
北陸地方でも輪島(石川県輪島市)で最大瞬間風速57.3m/sを記録するなど、記録的な暴風となりました。また、フェーン現象となり、山を越えた高温の乾燥した南寄りの強風が吹く中、富山県の小矢部市では9月28日午前1時過ぎに東蟹谷地区で火災が発生、強風と乾燥で住宅など35棟を焼き、鎮火に約6時間を要する大火が発生しました。この大火は通称、小矢部大火と呼ばれています。
北陸地方では台風や発達した低気圧が通過する際、南寄りの乾燥した強風により、しばしば大火が発生しています。最近でも2016年12月の糸魚川で、今年3月27日に小矢部市で大火が発生しています。いずれも日本海に発達した低気圧が進んできて、川沿いの地域で局地的に南寄りの風が強まり、乾燥も加わって火が一気に燃え広がりやすい条件が重なったことで大きな被害をもたらしました。
今回の台風も勢力の強いまま日本海を進み、過去に大火が発生した時と同じような気象条件となるおそれがあります。フェーン現象による高温や乾燥、南寄りの強風などが予想され、熱中症や農作物の管理だけでなく、火の取り扱いにも十分な注意が必要です。
この週末は台風の備えを
室内では、窓ガラスに飛散防止フィルムやガムテープ(養生テープ)、ダンボールなどを貼っておくなど、補強をしておくと、窓ガラスが割れたときに破片が飛び散るのを防ぐことができます。
万が一の停電に備えて、懐中電灯や予備電池の準備、非常食や飲料水などは賞味期限を確認し、この週末に不足しているものを買い揃えると良さそうです。特に、スマートフォンの充電器は乾電池式のものが重宝しそうです。火災に備えて消火器や火災報知機の位置の確認をしておくのも良さそうです。