北陸 3か月予報 春でも熱中症 暑熱順化を急ごう 梅雨入り前でも短時間強雨に注意
3か月予報 今夏も猛暑
地球温暖化の影響等により、全球で大気全体の温度が高い状態が継続しています。更に、上空の偏西風は平年より北を流れやすい予想で、チベット高気圧は平年より北側で強く、太平洋高気圧も平年より日本付近への張り出しが強い見込みです。
このため、北陸地方は暖かい空気に覆われやすく、今夏は猛暑となるでしょう。熱中症などの体調管理には十分注意し、エアコンなどの空調設備が問題なく作動するかを早めに確認しておきましょう。農作物や家畜などの水の管理、食品の温度管理を徹底し、猛暑の夏を乗り切るようにしていきましょう。
また、湿った空気が流れ込んで梅雨前線の影響を受けやすい時期もある見込みです。図では5月・6月・7月の三か月間を通して、降水量はほぼ平年並みの予想となっていますが、決して平坦な道のりが続くとは限りません。短期集中の大雨がある前提で、大雨への備えを計画的に進めるようにしましょう。
2024年の熱中症救急搬送 5月上旬には二日連続で重症事例も
熱中症警戒アラートが発表される基準となる暑さ指数は、予測に基づいて計算されるため、現実には100%実況に等しくならないケースも起り得ます。また、個々の地点の暑さ指数は、環境によって大きく異なり、各個人が暑さから身体に受けるダメージもその日の体調によって大きく左右されることがあるのです。
この時期は、まだ身体が暑さに慣れていません。暑さに身体を慣らし汗をかきやすい身体へとシフトさせる暑熱順化を、早期に皆さんで取り組み、熱中症ゼロを目指しましょう。
梅雨入り前でも短時間強雨に注意 早めの備えを
自宅周辺や通勤・通学経路上の短時間強雨などの大雨によるリスクを事前に把握しておきましょう。普段利用する道路の途中にアンダーパスなどはありませんか? 自宅周辺の側溝などの掃除をして雨水が問題なく排水されるかを早い時期から確認しておくことが大切です。避難場所や避難経路は最悪を想定して複数の候補を選定しておきましょう。自治体から発表されているハザードマップは随時アップデートされていますので、最新のもの定期的に確認することもお忘れなく。また、非常用品の準備も忘れずに行いましょう。食品の消費期限が過ぎていないことを確認しておくことも重要なチェックポイントです。
紫外線 この時期の立山室堂など残雪のある高山の散策では特に注意
この時期の標高2450メートル付近の立山室堂平などの雪原では、晴れている時程、多くの紫外線にさらされることになります。このため、日焼けには十分な注意が必要で、必ず、日焼け止めのクリームを塗る、サングラスや帽子を着用するなどの対策をとるようにしましょう。
「あい(あゆ)の風」「あえの風」とは
約1300年前に越中(現・富山県)の国主として赴任した大伴家持は、「東風(あゆの風) いたく吹くらし 奈呉の海人の 釣する小舟 こぎ隠る見ゆ」の歌を詠んでいます。
これは、「東風(あゆの風)が随分吹いているようだ。奈呉(現・新湊)の海人たちの釣りをする船が高波の影響で波間に見え隠れしている」の意で、奈良の都から下向した家持にとっては非常に興味深いものであったろうと推測されます。
風配図から見る「あいの風」「蜃気楼」出現の一因にも
図は冬を代表して2月、夏を代表して8月のいずれも富山の16方位の風配図を示したものです。富山の冬は、ほとんど南西や南南西方向からの風が吹いています。一方暖候期は、南西方向からの風も吹きますが、北北東方向からの風が多くなっていきます。
季節が進み日照時間がのびて気温が上昇するようになると、日中は海上よりも陸上の気温の方が相対的に高くなり、内陸部で上昇気流が発生しやすくなっていきます。すると、それを補うように、海上から陸上への風が海風として吹きやすくなることがあり、この、北から東寄りの海風が「あいの風」と考えられます。
※冬型の気圧配置が多くなる冬の富山で南西方向からの風が吹きやすいのは、三方を山に囲まれている富山県の地形の影響によるものと考えられます。地上付近よりも気温が低く重い上空の北よりの風(空気)は、山岳斜面にぶつかりると、山肌の斜面を下りながら次第に平野部では南寄りの風に変わり吹き出すことが一因ともされています。東京地方や近畿地方で「木枯らし1号」が観測された同一の時間帯であっても、富山では北よりの風が吹いていないこともあるのです。