きょう午前7時から10分ほどの間、富山市方面、射水市方面に風景のわずかな反転が観測され、今シーズン初めての春型蜃気楼の出現となりました。発生規模は最も小さいランクのEランクでした。
きょうの富山県は、南から暖かい空気が入り、神通川沿いなどで南寄りの風が強まりました。一方、魚津市の周辺は朝までは風がそれほど強まっておらず、富山湾の海面付近にある冷たい空気層に神通川沿いを吹き降りる暖かい南風が上に乗り、空気の温度差が生じて蜃気楼が出現したと考えられます。
蜃気楼とは、大気中の温度差(=密度差)によって光が屈折を起こし、遠方の風景などが伸びてバーコード状になったり反転して虚像が現れる現象のことで、上位蜃気楼と下位蜃気楼の2種類があります。
この時期の蜃気楼は上位蜃気楼で、実際の景色より上側に虚像が出現します。富山では、通常「蜃気楼」といえば上位蜃気楼をさし、「春型の蜃気楼」とも呼ばれます。
富山湾で出現しやすい条件は、
①晴れて気温が上がる ②朝と日中の気温差が大きい ③日中は北よりの微風となる ④移動性の高気圧が日本の東の海上に中心を移し、天気が次第に下り坂となるステージである等が挙げられます。ただ、必ずしもこれらの条件にあてはまらなくても出現するケースはあります。
今回は南風の強まるタイミングのずれで生じた条件での出現で、例外的に出現するパターンであったと言えます。
▼魚津埋没林博物館HP(外部リンク)
https://www.city.uozu.toyama.jp/nekkolnd/live/index.html