6月30日は、アインシュタイン記念日。世界でもっとも有名かつ偉大な理論物理学者アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein 1879~1955年)は、スイス特許事務所に勤めていた無名時代の1905年、後年極めて重要で画期的な論文と評価されることになる「光の発生と変換に関する発見法的観点について」(3月 光量子論)、「熱の分子運動論が要求する静止した液体中の微小な粒子の運動について」(5月 ブラウン運動理論)と並ぶ三つの最重要論文の一つ、特殊相対性理論をはじめて提示した「運動する物体の電気力学について(Zur Elektrodynamik bewegter Körper)」を6月30日の日付で物理学術誌「Annalen der Physik」に発表します。そしてこの日は歴史的な「相対性理論誕生の日」となったのです。
当時の物理学は万有引力で有名なニュートン(Sir Isaac Newton 1642~1727年)により設定されたモデル、世界は「絶対空間」(いかなる外からの作用にも変化しない均質で永続する場)と「絶対時間」(いかなる外からの影響も受けない均質でゆるぎない持続性)を前提としていました(ニュートン力学)。ところが、熱輻射やそれにより発生する光の現象を観察してみると、ニュートン力学と矛盾する現象が数々観測されるようになったのです。
1911年、エルネスト・ソルベイがベルギーのブリュッセルで、最先端の物理学者たちが議論をする第一回ソルベイ会議(The Solvay Conferences on Physics)を開きます。そして二年後にはニールス・ボーア(Niels Henrik David Bohr 1885~1962年)が原子の量子モデルを提示して、本格的な量子力学による「世界解釈」がはじまります。