
テレビ宮崎の夕方ニュース「#Link」でお天気コーナーを担当している気象予報士・古山圭子さんが天気の豆知識を解説するコーナー。今回は、「台風の危険半円」についてお伝えします。
台風23号が北上し、九州に近づいています。しばらくは西寄りに進んだあと、東向きに大きく方向を変え、九州の南を通る可能性が高くなっています。ここで古山予報士からクイズが出題されました。
古山予報士:
より危険なのは、台風の A.左側 B.右側 どちらでしょうか?
台風が近づいてくると、台風の中心がどこを通るか?ということに目が行きがちですが、自分の住んでいる地域が台風のどの位置になるかによって、風の強さが大きく変わるといいます。
正解は「B.右側」です。
なぜ台風の右側の方がより危険なのでしょうか。
なぜ右側は風が強い?「危険半円」の仕組み
台風は、中心に向かって反時計回りの風が吹いています。しかし、台風は自力で進むことはできず、上空の風に流されて移動しています。
ここでポイントになるのが、「台風自身の風」と「進行方向の風」の足し算です。
台風の右側では、台風の反時計回りの風と、台風を動かす風の向きが同じ方向になります。そのため、2つの風が合わさって、風速がより強くなります。この風が強まるエリアは「危険半円」とも呼ばれています。
一方、台風の左側では、台風の風と進行方向に吹く風が互いに打ち消し合う向きになるため、右側に比べて風が若干弱まる傾向があるのです。
進路予報円を見る際には、自分のいる場所が台風の右側(危険半円)に入る可能性があるのかどうかを意識すると、より的確な備えにつながりそうです。
雨は「東側」で強くなる傾向が
風だけでなく、雨の降り方にも特徴があります。古山予報士によると、「台風の東側で、より雨が強くなる傾向がある」とのことです。
これは、台風に流れ込む空気の性質が関係しています。台風が南から北へ進む場合、台風の東側では、南からの「暖かく湿った空気」が絶えず流れ込みます。この空気は雨雲の材料を豊富に含んでいます。
この暖かく湿った空気が、北にある比較的冷たい空気のほうへ運ばれると、冷やされて上昇し、次々と雨雲を発生・発達させるのです。その結果、台風の中心から少し離れた東側で大雨になることが多くなります。
台風情報に接する際、「危険半円」や「雨が強まりやすい東側」といった知識を持っていると、予報をより深く理解し、早めの防災行動に役立てることができます。
台風進路図を見る時は、ぜひこの知識を思い出して、備えを進めてください。
(テレビ宮崎)