「エール」と「ラガー」の違いとは?ビールの多彩な種類を知って、好みの味を楽しもう
2021年07月20日
今回は、原材料と製法の違いからうまれる、多彩な「ビアスタイル」をご紹介します。
世界中に100種類以上も!ビールの種類をあらわす「ビアスタイル」
エール酵母からは豊かな香りと深い味わいの「エール」が、ラガー酵母からはすっきりとしたキレのある「ラガー」がうまれます。どちらも「麦芽・ホップ・酵母・水」からつくられますが、酵母の違いによってまったく異なる味わいになるのです。
クラフトビールで注目される個性派「エール」、世界中で愛される定番「ラガー」
下面発酵は低温で発酵するため、雑菌が繁殖しにくく管理しやすいというメリットがあります。一定の品質を保ったビールを大量に生産するのに向いてることから、ラガーは世界中で普及しました。現在、日本で流通している大手メーカーのビールもほとんどがラガーの「ピルスナー」というスタイル。世界中で最も普及し愛飲されているのが「ピルスナー」といえます。
より深いビールの世界へ。知っておきたい5つのスタイル
【1】ピルスナー(Pilsner)/ラガー
19世紀半ばにチェコ・ピルゼンで誕生した、世界で最も普及しているビアスタイル。淡色でアルコール度数は低め、すっきりしたキレと爽やかな喉ごし、ホップの苦味が特徴です。ドイツから醸造士を招き、チェコのブルワーがつくり出しましたが、ドイツのラガーよりも淡い色で爽やかな味わいが人気となり、世界中に広まっていきました。よく冷やして飲むのがおすすめ。
・ピルスナー・ウルケル(チェコ)
・ミッケルズドリーム(デンマーク)
・フレンスブルガーピルスナー(ドイツ)
【2】ペールエール(Pale Ale)/エール
16世紀頃、イギリスのバートン・オン・トレント発祥の代表的なエール。かつてのビールは色の濃いものが多く、それらよりも色が淡かったことから「ペール(色が淡い)エール」と呼ばれるようになりました。琥珀色で香りが芳醇、味わい深く引き締まった苦みが特徴。冷やしすぎず、13℃位で味わってみましょう。
・フラーズロンドンプライド(イギリス)
・シエラネバダペールエール(アメリカ)
・よなよなエール(日本)
【3】IPA(India Pale Ale)/エール
ホップを大量に使用してつくられる個性あふれるビール。ホップの香りや苦みが強く、アルコール度数も高め。大航海時代、植民地だったインドに船でエールを運ぶため、保存性を高めるホップを大量に加え、糖度も高めたことから誕生しました。アメリカで始まったクラフトビールの流行を受けて、世界中で愛されるビアスタイルに。
・パンクIPA(スコットランド)
・ブアー&ブラム(オランダ)
・ストーンIPA(アメリカ)
【4】ヴァイツェン(Weizen)/エール
「Weizen」はドイツ語で小麦を意味します。ビールの麦芽は大麦を用いますが、ヴァイツェンでは最低50%以上の小麦麦芽を使います。起源は中世まで遡るといわれる、ドイツを代表するビール。フルーティで爽やかな酸味が特徴。クリーミーな泡と甘い香りは、ビールが苦手な人にもおすすめです。
・ヴァイエンシュテファンクリスタルヴァイスビア(ドイツ)
・プランクヘフェヴァイツェン(ドイツ)
・富士桜高原麦酒ヴァイツェン(日本)
【5】スタウト(Stout)/エール
「Stout」は英語で「強い」という意味。ローストした麦芽の香ばしさと苦味が特徴。クリーミーな泡とまろやかで芳醇なコクをもつ黒ビール。18世紀、「ポーター」というビアスタイルがロンドンで人気を集めていたときに、アイルランドのギネス社がポーターを模して醸造したのが「スタウト・ポーター」です。ポーターの本場ロンドンでも人気となり、現在も世界中で愛されています。
・ギネスエクストラスタウト(アイルランド)
・ライオンスタウト(スリランカ)
・インペリアルチョコレートスタウト(日本)
色、香り、味わいをゆっくり楽しみたい、個性あふれるビールの数々。好みのビアスタイルが見つかると、選ぶ楽しみも増えますね。この夏は、多彩なビールの世界を存分に楽しみましょう。
参考文献
『厳選世界のビール手帖』世界文化社
参考サイト
ヤッホーブルーイング