「春一番」は荒天もたらす春の嵐 生活の中で注意すべきポイントは?
2024年02月14日
「春一番」発表の条件
春一番は冬から春へ移り変わる時期に、初めて吹く暖かい南よりの強い風のことで、春の訪れを告げる強い南風です。気象庁では、「立春から春分までの間に、広い範囲で初めて吹く、暖かくやや強い南よりの風」と定義しています。
春一番が吹いたと発表されるには、期間や風向、風速、最高気温、気圧配置などの条件があり、風速や最高気温などの条件は、地方によって、少し異なります。
例えば、関東地方の春一番の条件は、以下を基本として、総合的に判断します。
・立春から春分までの間
・日本海に低気圧がある
・強い南風が吹き、気温が上昇
※具体的に東京で最大風速が、おおむね8m/s以上の南よりの風が吹いて、昇温した場合。
春一番の発表基準に達しない場合は、発表されない年もあります。
春一番が発表されるのは、九州南部、九州北部、四国、中国、近畿、東海、関東、北陸の8つの地域です。東北と北海道、沖縄には発表がありません。この理由としては、気候の特性が影響しています。例えば、北国では南寄りの風が強まっても、その後はすぐに冬型の気圧配置となり、北寄りの風が強まって厳しい寒さがぶり返すパターンが多いことから、地域になじまないため、発表しないことになっています。
「春一番」発表の由来
大昔になりますが1859年3月17日、現在の長崎県壱岐市(郷ノ浦)で、強風にあおられて船が転覆し、53人の漁師が亡くなるという事故がありました。これを理由に、春一番は、急発達する低気圧がもたらす強い南風を、防災上の注意を促す情報の1つとして、言い伝えられたと言われています。
当時は、漁師の間で「春一」と呼ばれていましたが、後に、「春一番」と呼ぶようになったそうです。
「春一番」が発表されたらどうなる?
春一番の発表基準とされている最大風速8m/s以上というのは、「風に向かって歩きにくい」レベルの風の強さです。
また、風の吹き方は常に一定ではなく、強弱を繰り返していて、瞬間的には平均風速の1.5倍、時には3倍になることがあります。その場合、最大瞬間風速が25m/sを超えてもおかしくありません。強風にあおられて、転倒するレベルの風になることもあるということです。
また、時間が経つと風向きが大きく変わります。
春一番が発表される際には、「南寄りの風」ですが、低気圧が東へ進むにつれて、風向きは「北寄りの風」に変わることが多くなります。
風向きの変化に伴って、「気温が急上昇」した後、「急降下」する場合がほとんどです。
気温が一気に急上昇することによって、雪の多い所では、融雪による事故が発生したり、雪山では雪崩が発生したりするリスクが高まります。
また、気温の急変による体調管理にも注意をしなければなりません。
「春一番」は荒天をもたらす「春の嵐」と覚えておいてください。
「春一番」注意すべきポイントは?
まず、強風が予想されるため、屋外の活動やイベントなどを開催される場合には、強風対策がしっかりとできているかどうか事前に確認をする必要があるでしょう。テントを張るような活動は事故につながる恐れもありますので、できれば控えた方が無難です。
また、車の運転は横風にあおられて、急にハンドルをとられる危険があります。運転に慣れていない方は、特に注意が必要です。高所での作業もできる限りは、危険を避けるために控えた方が良いでしょう。
春一番が発表されるような日は、大気の状態が不安定となり、変わりやすい天気に注意が必要です。風だけでなく、雨も強まり荒天となるでしょう。
海や山のレジャーは控えてください。雷雨となったり、突風が吹く恐れもあります。また、気温の上昇によって、融雪が一気に進む可能性もあるため、雪山の急斜面には近づかないでください。気圧や気温の変化による体調不良などにも注意が必要です。
そして、風が強まり気温が上昇する日は、花粉が大量飛散しやすくなります。花粉症の方は普段以上に万全な対策を心がける必要があるでしょう。
「春一番」に似た現象は秋にもある?
木枯らしとは、晩秋から初冬にかけて吹く北よりの強い風のことを言い、その年最初の木枯らしを「木枯らし1号」として気象庁が発表しています。
東京地方の木枯らし1号の条件は、
・期間は10月半ばから11月末までの間
・気圧配置が西高東低の冬型となって、季節風が吹くこと
・東京における風向が西北西~北
・東京における最大風速が、おおむね風力5(風速8m/s)以上
気象庁は、これらを基本として、総合的に判断して発表しています。
「春一番」も「木枯らし1号」も季節の変わり目に発表されるものです。これからまさに春の強風の季節、天気予報ではぜひ「風」にも注目をしてみてください。