木枯らし1号って何? 2号・3号もあるの?
2023年10月26日
この記事では、木枯らしとはそもそも何なのか?木枯らし1号はいつ吹くのか?吹くとどうなるのか?などについて「木枯らし」の定義から解説していきます。
※2024年11月7日更新
木枯らしってそもそもなに?
木枯らし「1号」の呼び名は、日本気象協会出版の「気象」という雑誌で用い始めたことが発祥と考えられています。その後気象庁が東京・近畿の気象台単位で基準を定めて発表し始めたことで、一般に定着していきました。1号ということで、「2号」「3号」もあるのか?と思う方もいるかもしれませんが、2号の発表例は今のところありません。ただ、それは2号に相当する風が吹かないことを意味するのではなく、吹いたとしても1号に比べて注目・関心度合いが大きく下がるため「発表自体がされない」ことを意味しています。
なお、同じ読み方で「凩」と書くこともありますが、常用漢字ではないため初見で読める方は多くはないでしょう。意味としては木枯らしと「凩」の間に大きな違いはありません。
木枯らし1号は地域によって基準が異なる 発表されない地域も
東京地方…「10月半ばから11月末にかけて、西高東低の冬型の気圧配置となった状態で、最大風速が8m/s以上の西北西~北風が吹く」
近畿地方…「10月24日頃(霜降)から12月22日頃(冬至)にかけて、西高東低の冬型の気圧配置となった状態で、最大風速が8m/s以上の北よりの風が吹く」
東京地方と近畿地方では、それぞれ上記が基準となっています。
では、その他の地域ではどうでしょうか。
実は木枯らし1号は、東京地方と近畿地方のみが発表対象です。つまりこの2地方以外では、木枯らし1号に相当するような風が吹いても発表されないのです。
その理由として、下記が挙げられます。
・そもそも木枯らしは太平洋側の地域で吹くものである
(日本海側の場合、木枯らしを引き起こす冬の季節風は日本列島の地形的な性質上、「雪や雨」を伴ってしまうことが多く、「木枯らし=木の葉をまき散らす、乾燥した強い北風」のイメージにそぐわない)
・木枯らし1号を発表してほしいという要望が多かったのがこの2地域のみである
・防災上の観点から考えると発表の必要性が高くない
(たとえば、「春一番」は防災上の観点から発表の必要性が比較的高いとされ、北日本を除く8つの地域で発表される)
[参考]
・気象庁 天気相談所
・日本気象協会 出版 「気象」
木枯らし1号が吹くのはどんな時? 吹いた後はどうなる?
まず、木枯らし1号が吹く直前の状況として考えられるのは、低気圧が日本付近を東進しながら通過しているケースです。この低気圧の影響で、日本付近では全国的にぐずついた空模様になっていることでしょう。
低気圧が日本の東に抜けると、西に高気圧、東に低気圧という、いわゆる「西高東低の冬型の気圧配置」になり、全国的に北よりの風が吹くことになります。この時、東京および近畿地方において8m/sを超える北風が吹けば、「木枯らし1号」となるわけです。
この北風によって日本付近には一時的に冬の空気、すなわち寒気が流れ込みます。時期にもよりますが、北日本だけでなく、東・西日本でも標高の高い地域を中心に初雪を観測する場合もあるでしょう。冬がやってきた!と感じる瞬間ですね。
では、木枯らし1号が吹いた後は、もう冬なのでしょうか?
答えは否です。吹いた後数日は寒気の影響で平年よりも低くなることが多いですが、その影響も一時的で、その後の天気は日本付近の高気圧・低気圧の動向次第です。まだまだ晩秋~初冬の時期ですので、太平洋側の地域を中心に最高気温が20℃を超えるような「小春日和」になるケースも十分にあります。
木枯らし1号に関する記録 近年は観測されないことも増えてきた?
また、木枯らし1号が観測されない年もあります。
東京では直近でも2018年・2019年、2021年・2022年と2年連続で木枯らし1号が観測されませんでした。現在の基準となった1991年以降、観測なしの年が計4回ありますが、そのすべてが2018年以降の記録です。一方大阪では1991年以降、1992年の1回を除いて毎年観測されており、直近5年の記録は上図の通りです。
まとめ 木枯らしって結局なに?
東京地方では2021年・2022年と木枯らし1号を観測していませんでしたが、2023年は11月13日に3年ぶりとなる木枯らし1号を観測しました。2024年も記録的な暑さが注目を浴びましたが、両地方とも11月7日に木枯らし1号が観測されました。季節は一歩一歩着実に進んでいきます。