2月4日は一年の始まり「立春」です!

「春の気」はどこから?

太宰府にある「飛び梅」
「東風(こち)吹かばにほひおこせよ梅の花主(あるじ)なしとて春な忘れそ」
菅原道真が京の都から左遷先の太宰府へ向かう時に詠んだ歌です。幼い頃から詩歌の才能を発揮し右大臣にまで上り詰めた道真にとっては、悔し涙があふれていたことでしょう。暖かいとまでいかない東風に響き合う梅の花の香りを詠んだ穏やかな上の句、春を忘れてくれるな、と強い意思を示した下の句。日頃愛した梅の花への道真の思いは、歌の心に包まれて春がめぐるたびに人々の口にのぼり愛好されてきたのです。この梅が一夜にして太宰府に飛んできて根付いたという飛び梅伝説も生まれています。
冬の北風が東風に変わり氷をとかし始めるころ、それが立春なのです。
「事始め」お正月は過ぎてしまいましたけれど……

京都 伏見稲荷大社 千本鳥居
2月最初の午の日は「初午」です。稲荷社では初午祭がおこなわれ、初午詣でがおこなわれます。学齢に達した子はこの日から寺子屋入りをしたとか。
五穀を司る神として信仰された「宇賀御魂命(うかのみたまのみこと)」は、春になり農作業の始まりの無事なこと、稲の生育の健やかなことを祈る神様です。「稲生(いななり)」が「稲荷」へと転じ、狐にたいする民間信仰と結びついて狐の好物油揚げを供え物にする風習が起こったようです。新年ですがすべては秋の豊作への祈りへと向かうのですね。
立春がお正月! というアジアの国々もあります

台湾 春節の飾り
海を隔てたアジアの国々では「立春」を正月としている国がたくさんあるということです。お隣の中国の「春節」は華やかな色と派手に立てる爆竹の音で新年を迎えることで有名ですね。中国では赤は縁起のいいおめでたい色、ですから婚礼衣装も赤ですって! 飾られるお札や提灯はもちろん赤! 悪を遠ざけ福を呼ぶ赤で街が彩られるのも頷けます。そして爆竹の大きな音は魔物や悪を払うためとか。こんな賑やかなお正月もまた楽しいかもしれません。そう思ったらこの時期に横浜の中華街や神戸の南京町を訪れてみて下さい。日本にいながら異国情緒たっぷりのお正月を味わうことができますよ。ともに港町、外国航路の玄関口として今も活躍する街です。海を見ながら異国へ心を飛ばしてみる春の迎え方もまたいいのではないでしょうか。