静寂のなかで行われるパラスポーツ「ゴールボール」
2019年10月13日
視覚を頼らずに行うスポーツ、ゴールボール
2020年を意識したイベントが各地で数多く行われていますが、最近ではパラスポーツも注目を集めていて、参加型イベントが増えていることをご存じでしょうか。
そうした中、パラスポーツならではの競技があるのですが、その競技名は「ゴールボール」といいます。ゴールボールと呼ばれる競技の魅力は、どんなところにあるのでしょうか? 今回はその一部をご紹介しましょう。
パラスポーツ独自の競技、ゴールボール
それは、ゴールボールの始まりをひもとくとわかります。
ゴールボールが誕生したきっかけは第二次世界大戦のこと。戦時中に目を負傷した人たちのためのリハビリとして行われていた行為が、その後のゴールボールにつながっていったという歴史的背景をもつスポーツなのです。
駆け引きのスポーツ、ゴールボール
バスケットボールほどの大きさのボール
また、視覚障がい者の程度もブレーやーによって異なることから、目隠しにゴーグルをつけて行う点もゴールボールの特徴です。
ルールはシンプルで、ボールを交互に転がし、敵陣のゴールに数多く入れたほうが勝ちとなります。ルールだけ聞くと簡単そうに感じますが、トップクラスが投げ込むボールのスピードは、なんと時速60〜70kmにおよぶのだそう! さらに、ボールはバスケットボールの倍ほどの重さというから、重量もなかなかのもの。こうした条件を聞くと、その難しさが理解できますね。
こうした特徴とボールのスピードで競い合うスポーツですから、ボールが投げられてから動くのでは遅い場合もあります。そのため、守備側は攻撃側の足音や、体が風を切るかすかな音さえも頼りにします。
また、攻撃側はそれを逆手に取り、ワザと違う動きを加えることで相手選手を撹乱しようとします。こうした駆け引きこそ、ゴールボールのだいご味といえるでしょう。
ゴールボールは「静寂」が絶対のスポーツ
選手はゴーグルをつけてプレーします
それはなぜかというと、ボールの中に配置された鈴の音が聞こえなければ、この競技は成立しないからです。そのため、試合開始の際は、審判が「クワイエット プリーズ」とコールし、会場全体に静寂を求めます。
さらに、観客に対しては携帯電話の電源をオフにすることがアナウンスされます。ベンチが静かでないとペナルティになるほどに「音」が絶対的に重要なスポーツなのです。
── 集中して観戦すればするほど、その静寂からくる緊張感がたまらないものになるはずです。ぜひ一度、ゴールボールならではの雰囲気を体感してみてください。