弥生3月。大地の潤いに草木出づれば、花は咲き鳥は歌い始めます
2021年03月01日

弥生は桃の節句から。お雛さまの華やぎが春を運びます

かつて人形は神霊の依り代と考えられ、節供がすむと供物をささげて水に流したり、氏神様の境内に納めたりされていました。子供が無事に育つことが難しかった時代に親が捧げた祈りの心が源流です。現在のような形になったのは江戸時代に入ってからとのこと。平安時代の宮中における殿上人の世界を模した雛人形は、大名家のお姫様のお輿入れのリストにも載り、やがて富裕な商人の間にも広がって名品が作られました。この時期になると各地の美術館などで大切に伝えられてきたお雛様を目にすることができるのはたいへん嬉しいことです。
豪華に雛人形を飾らなくとも、桃の花一枝を差した花瓶の横に雛あられを置くだけでも充分でしょう。錦糸卵をたっぷりのせたちらし寿司に大きなはまぐりのお吸い物を添えれば雛祭りの気分も盛り上がります。寒さはまだ残りますが桃の節句で華やかに弥生をスタートさせてみませんか。
「啓蟄」冬籠もりをしていた虫たちの蠢きは大地の目覚め!

このあたりまで来ればもう3月も終わりになり、いよいよ4月は育苗用のハウス作りへと進みます。秋の実りに向かって種作りは寒いうちから始められているのですね。
春の喜びはまた別れの時。巣立ち、旅立ちを迎えます

学生たちの3月は1年の努力の成果とともに迎えます。進級と卒業、新しい門出へ向かう希望の月。社会人でしたら年度替わりで昇進や転勤とやはりドキドキしながら過ごす時ではないでしょうか。制服やスーツを新調したり買いそろえる品々を選んだりと、将来への夢が膨らみ、また新しい環境への緊張も感じることでしょう。
木々の芽吹きを感じ花の便りを聞きながら、いよいよ生き出づる「いやおひ」にならい、分厚いコートを脱いで新たな命へ一歩を踏み出す、それが弥生3月。まずは深呼吸、早春の空気を胸いっぱいに吸ったらさあ、不安を乗り越え前進です。