霜はなぜ降りる?仕組みや条件、霜がもたらす影響と対策を徹底解説
この記事では、霜が降りる仕組みや条件に加えて、霜が私たちの生活にもたらす影響とその対策について、詳しく解説します。
霜の正体は?なぜ霜が降りるの?
一面に霜が降りたようす
空気中には水蒸気が含まれています。空気が含むことのできる水蒸気の量は温度に比例します。冷え込みが強まって地面や物体が氷点下になると、その周囲の空気も冷やされ、水蒸気は気体のままではいられなくなり、氷の結晶へと変化します。
ぐっと冷え込みが強まった朝には、田畑や草むらがまるで雪が降ったように一面真っ白になったり、車のフロントガラスに美しい模様が現れたりと、幻想的な景色を見ることができます。
一方で、霜によって農作物がダメージを受けたり、車のフロントガラスが凍結したりするなど、私たちの生活に影響を及ぼす厄介な存在でもあります。
霜に注意が必要なのはどんなとき?
霜が降りる仕組みと条件
これは、晴れて風が弱い夜間は、放射冷却によって冷え込みが強まりやすいためです。
放射冷却とは、地球などのあらゆる物体から熱が放出され、冷える現象です。ただし、日中は太陽から吸収する熱の方が多いため、相対的に気温が上がります。一方、夜は太陽からの熱がないため、地球から熱が逃げていき、地面付近の気温も下がります。このとき、雲があると布団の役割をして熱が逃げにくくなったり、風があると地表から離れた暖かい空気とかき混ぜられたりするため、放射冷却は弱まります。逆に晴れて風が弱いと、放射冷却を抑制させるものがない状態となるため、冷え込みが強まるというわけです。
また、気温の条件が0℃ではなく3〜4℃以下なのは、気温は地面から1.5mの高さで測っているからです。その高さで3、4℃の場合、地面付近では0℃近くになり、空気中の水蒸気が凝華します。
春や秋に移動性高気圧に覆われるときは、とくにこの条件が揃いやすく、霜が降りやすくなります。
霜に注意が必要な期間
ただし、年によって大きく変動することもあります。秋の季節外れに早く降る霜を「早霜(はやじも)」、春から初夏にかけての季節外れに遅く降る霜を「遅霜(おそじも)」と呼びます。
それぞれ、早霜は農作物の収穫期に、遅霜は生長期にあたるため、農業においてこの”季節外れ”の霜はとくに注意が必要です。次で詳しく見ていきましょう。
作物の凍霜害に注意!対策は?
遅霜の被害にあった果物の花
最近では、2021年の春に、遅霜によって大規模な凍霜害が発生しました。山形・福島・長野県を中心に桃・さくらんぼ・りんごなどが大きな被害を受け、被害面積は1万2600ha、被害額はおよそ195 億円にものぼりました。被害額のうち6割以上を占める山形県では、過去最大の被害額となりました。
凍霜害の防止・軽減のためには、霜注意報の確認をしましょう。気象庁が発表する霜注意報は、まさに「遅霜・早霜による農作物の凍霜害発生に注意を呼びかけるため」の情報です。
というのも、霜注意報は「霜が降りるかどうか」ではなく、「予想外の時期に霜が降りることで農作物へ影響を与えうるかどうか」を基準として発表しています。「予想外の時期の降霜」とは遅霜・早霜のことで、沖縄・奄美などの一部の温暖な地域を除き、この期間(※)に限定して発表します。
ですから、霜が降る条件が予想されたとしても、そもそも作物が育たない冬に霜注意報は発表されないのです。まさに農家のための情報というわけです。
(※遅霜のみを対象とする地域もあります。)
各地域の霜注意報の発表期間と基準は、気象庁HPで確認することができます。
→気象庁「警報・注意報発表基準一覧表」(外部リンク)
霜注意報が発表されたら、できる限りの対策を行いましょう。事前にできる対策としては、防霜ファンを使って上空の空気を送り込んだり(送風法)、灯油などを燃焼する(燃焼法)、湿度を高めるために水をまく(散水法)、下草を刈り込むといった方法があります。
家庭菜園の場合は、簡単にできる方法として、不織布やビニールなどの被覆材で作物を覆っておくとよいでしょう。
ドライバー必見!フロントガラスの霜対策
車のフロントガラスの霜対策・対処法
霜のシーズンには、天気予報で翌日の最低気温をチェックし、予想最低気温が3~4℃以下のときは、翌朝早めに霜取りの準備をしましょう。先ほど説明したとおり、霜注意報は早霜・遅霜の時期しか発表されないため、ドライバーの場合は最低気温のチェックが基本となります。
事前にフロントガラスにカバーや毛布をかけたり、撥水剤でコーティングしておくと霜がつきにくくなります。
フロントガラスに霜が降りてしまった場合には、出かける前に時間に余裕を持ってデフロスターを使って霜を解かしましょう。解氷剤を使えば、すぐに霜をとることもできます。なお、熱湯をかけるのは、フロントガラスが割れたり、すぐに凍結する可能性があるので絶対にやめましょう。
また、急いでいるからといって、フロントガラスの霜を取りきらないまま走行することは、視界不良による事故のおそれがあり、大変危険です。ドライバーは、霜が降りやすい季節になったら、出発前の時間に余裕をもっておくことが大切です。
