ヌルヌルが命の「じゅんさい」って何だ!?北日本で食べる水草の新芽

じゅんさいはハス科の水草。ヌメリに覆われた新芽を食べる

春になると水面の下の茎のところどころから枝が分かれ、二股になった部分に、ヌルヌルしたゼリー状のものに覆われた新芽が出てきます。このつぼみのような若い芽を一つひとつ手で摘み取って食べるのですが、生のじゅんさいを食べることができるのは、5月~8月上旬のわずかな期間。まさに、今が旬のはじまりです。
秋田県が生産日本一。小舟に乗って、一つずつていねいに摘み取る

三種町でのじゅんさいの摘み取りはすべて手作業です。小舟に乗って、水面の葉をかき分け、水中の茎についている新芽をさがし、一粒一粒ていねいに摘み取ります。
ひと昔前までは自生していたじゅんさいですが、現在では栽培専用の沼を開墾し、育てています。
涼しげな見た目の高級食材。ツルリとした“のどごし”が命

ヌメリに覆われた新芽。これを摘み取る。
このヌメリが、独特のプリプリした食感と、ツルッとしたのどごしを生み、料亭では涼しげな夏の味覚として古くから食べられています。じゅんさいそのものには特徴的な味がなく淡泊ですが、独特の風味と食感が珍重されている、というわけです。
家でじゅんさい料理をする時、下ごしらえで茹でる際にはなるべく手早く済ませ、せっかくのヌメリがなくならないようにしましょう。
じゅんさいは主に北日本で食べられるため、西日本では見たことがない人も多いかもしれません。美味しいというよりは、ツルリとした独特の歯ごたえを楽しむ食材といっていいでしょう。5月になると、秋田県の三種町や北海道南西部にあるじゅんさい沼などでは収穫が始まります。摘みたてのじゅんさいを味わうために、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
