高い海水温で台風シーズン長引く 発達の最盛期で本州接近も 第19号の動向にも注目
本州沿岸部まで高い海面水温 台風 発達の最盛期で接近・上陸も
図で示す9月20日の日本近海の海面水温は、東シナ海から本州南岸・関東沖の広い範囲にかけて、今夏の記録的な猛暑の影響もあり、27℃以上の海域が広がっています。
海面水温が高いことに加え、「下層で低気圧性の反時計回りの渦が出来やすいこと」「上空の風が下層と比べて強すぎないこと」「上空が湿っていること」「上層に寒冷低気圧があること」などの各種条件が揃うと、台風は発生しやすく急速に発達することがあります。「日本の南の海上はまだ夏」と言っても過言ではありません。このあとも太平洋高気圧の南への後退は遅く、この先も台風シーズンは例年より長引くでしょう。引き続き備えを万全にして下さい。
動向が注目される台風19号の進路
海外の予想モデルでは、ヨーロッパ中期予報センターの20日21時初期値などで、台風19号と推測される発達を続ける低圧部は、気象庁の予想よりも更に西進を続け、本州付近に近づいてから、北東方向に転向する予想をしているものもみられます。気象庁の予想進路と異なるのは、台風がどこで偏西風に乗り北東方向へ向きを変えるかの予想が異なっていることが原因とみられます。太平洋高気圧の勢力動向にも絡んで、予想を難しくしていると思われます。
2024年の台風10号の進路は、日本へ近づくにつれ予想進路が大きく変わりました。日替わり?のような印象もあり、実害の無かった所でも、事前の対策や予定変更を求められるなど大きな影響を受けた所がありました。セカンドオピニンの観点からも、関心のある方は海外の予測モデルなども参照なさって下さい。
熱帯低気圧の発生確率 日本の南の海上で相対的に高い
台風は、予想進路図が示されると、その中心付近を注目しがちです。ただ、離れている所でも突風被害や秋雨前線との危険な組み合わせにより大雨となることがあります。この先も、10月にかけて台風の発生・接近には注意警戒してください。
台風の月別平均進路
ただこの先も、太平洋高気圧の勢力は強く、南への後退は例年より遅い見込みです。図の10月の平均進路は、全て日本の南の海上となっていますが、9月の平均進路のように、今後10月にかけても本州付近を台風が通過する可能性がまだあるものとして、備えを続けて下さい。
過去には、10月でも台風が本州付近に近づいて、秋雨前線を刺激しながら、大雨や暴風による災害をもたらした例があり、次に近年の二つの事例を挙げます。(本記事は北陸支店から発信しているため、台風による影響や被害は北陸地方を中心に記載しました。)
2017年10月22日〜23日 台風21号による北よりの暴風・大雨事例
大雨の影響による土砂崩れや河川の増水、暴風による倒木や交通ダイヤの乱れ、飛ばされたトタン屋根が人の頭部にあたり大けがをしたり、停電が発生するなど大きな影響がありました。
2019年10月12日〜13日「令和元年東日本台風」による記録的な大雨事例
新潟県の能生では12日に日降水量252.5mmを観測、通年で観測史上1位となる記録的な大雨となりました。この他、10月の観測史上1位の記録として、糸魚川では日降水量175.5mm、福井県の小浜では日最大瞬間風速33.3m/s(北北西)の暴風を観測しました。
千曲川では経験したことのないような雨が流域に降って大規模な氾濫が発生、北陸新幹線の12
0の車両が水につかり、全てが廃車となる被害が発生したのもこの台風19号の影響によるものでした。この台風は、後日気象庁により「令和元年東日本台風」と命名されました。
