晩夏、初秋♪色遊びで日本の四季を楽しみましょ<襲の色目編>
2023年09月18日
古に想いを馳せつつ、普段のコーディネートや小物、インテリアなど、アレンジやお買い物の参考にしてみてはいかがでしょうか。
古くから色遊びをしていた日本人
現代では、昔の四季とは呼び名などが少しずれることもありますが、周りの動植物を基準に考えてみることで、新しい発見があるかもしれません。
読めますか?襲の色目『龍胆』
蘇芳はマメ科の木です。飛鳥時代から輸入され、公家などの衣類に取り入れられてきた染料です。色としての蘇芳はやや青味のある赤茶で、淡蘇芳は小豆のようなやや柔らかな色合いです。裏は緑色ですが、『アオ』と呼ばれています。信号の色と同じ、日本人特有の色彩感覚かもしれません。
はっきりした色味でコントラストがしっかりあるような印象ですが、今であれば、素材で軽やかなものを選んだり、小物や靴、リップなどで取り入れてみてもいいかもしれませんね。爽やかさと温かみの両方が感じられる配色ですね。
読めますか?襲の色目『枯野』
七、唐衣(カラギヌ)は赤色。藤。夏は、二藍(フタアイ)。秋は、枯野。
八、裳(モ)は大海。
九 汗衫(カザミ)は春は、躑躅(ツツジ)。桜。夏は、青朽葉(アオクチバ)。朽葉。
「夜まさりするもの」より
このように、清少納言は秋に『枯野』を推しています。『枯野』は、晩秋や冬の入り口を表現しています。虫の音が絶えて、野にある草木が霜に覆われた様子を表しています。襲の色目では、表『黄』/裏『淡青』になります。
この『黄』はススキなどのイネ科の植物で染められることも多く、その時期に採取できる材料である側面と、日中の陽の光の暖かさと美しさを的確に表した色ではないでしょうか。『淡青』については、こちらも今で言うところの緑色の系統です。旺盛さを欠きつつも、わずかに残った緑や、冬枯れしている植物の緑を表現しています。今の季節への喜びと過ぎた季節への名残惜しさを表しているように感じられませんか?とても素敵な配色ですよね。
柔らかな明るさがある配色ですので、取り入れやすいのではないでしょうか?ナチュラルなカラーのヌバックやスエードならば、靴や鞄などで取り入れやすいですよね。淡緑もハンカチやカーディガンなどで、取り入れやすく、また様々なアイテムで使われているので選びやすい色ではないでしょうか。
参考
美しい日本の伝統色/パイインターナショナル