【台風マメ知識】18号接近の今「台風、タイフーン」「ハリケーン、サイクロン」の違いを知っておこう!
2015年09月08日
猛烈な波しぶきを立て荒れる海。ちなみに、波高4m超を「時化(しけ)」、6m超を「大時化」と表現します
tenki.jpでも18号の予想進路や雨・風の強さなどの情報を適宜提供していますので、注意報や警報を確認するとともに、命を守る万全の対策を早めにとりましょう。
今回は、台風に関する素朴な疑問や決まりなどのマメ知識を、2夜連続でお届けします。
すでにご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、自然の猛威・台風については意外と知られていないことが多いので、この機会に基礎知識を得て、“台風通”になりませんか。
台風の勢力は、強さと大きさで表現
熱帯地方で海の水温が上昇すると水蒸気ができます。それが雲となって空気が渦を巻いて発生する低気圧が熱帯低気圧。そのうち、最大風速(10分間平均)が17.2m/s以上のものが台風と呼ばれます。
台風は中心気圧(hPa:ヘクトパスカル)が低いほど勢力が強いと言われますが、現在では「強さ」と「大きさ」の組み合せで台風の勢力を区分けしています。
「強さ」は中心付近の最大風速により3段階
●強い(33m/s~44m/s未満)
●非常に強い(44m/s~54m/s未満)
●猛烈な(54m/s以上)
「大きさ」は強風域(風速15m/s以上)の半径により次の2種類
●大型(500km以上~800km未満)
●超大型(800km以上)
今年発生した台風15号は最大瞬間風速71m/sを記録
2011年9月中旬、東日本に上陸した台風15号の爪痕
【風速10m/s、17m/s、20m/s以上の違い】
■風速10m/s程度は、樹木が揺れて傘がさしにくい状態。
■台風と認定される風速17m/s程度になると、小枝が折れ、風に向かって歩けなくなります。
■風速20m/s以上では、瓦がはがれるなどの被害が出始め、何かにつかまらないと立っていられないことに。
【台風の大きさを日本列島と比較すると】
■大型の場合は「東京を中心に大阪から東北地方まで」、
■超大型では「本州をすっぽり覆うサイズ」となります。
ちなみに、この「大きさ」と「強さ」も、それぞれ500km未満、33m/s未満の場合はあえて表現しません。
先般発生した台風15号は、最大風速が50m/s程度、強風域の半径が500km未満だったため、大きさは表されず、「“非常に強い”台風」と表現されました。
ところが、台風が通過した石垣島では、この地点での観測史上最高となる最大瞬間風速71m/sを記録。
トラックや車の横転、家屋の損傷、街路樹や電柱の倒壊など、凄まじい爪痕を残したのは記憶に新しいところです。
もし「“超大型”で“猛烈な”台風」と発表された場合は、どれだけ勢力の強い台風が来ることか……!
想像するだけで背筋が寒くなりますね。
台風とタイフーン? ハリケーンとサイクロン?
「同じでしょ……」というあなたは正解! でも不正解!
タイフーンは、台風と同じ熱帯低気圧ですが、国際的な取り決めによって「最大風速(1分間平均)が33m/s以上のもの」と決められています。つまり、
■「台風」は、日本の基準で決められた熱帯低気圧のひとつ。
■「タイフーン」は、世界基準によるもの……なのです。
また、世界中で発生している熱帯低気圧は、その規模と発生場所によって呼び方が変わります。
■「ハリケーン」は、太平洋(赤道より北、東経180度より東)や大西洋上で発生する大型の熱帯低気圧。
■「サイクロン」は、インド洋や南太平洋で発生するもの。
「ずわい蟹」が捕れた場所によって「越前蟹」や「松葉蟹」と呼ばれるのと似ていますね。
さらに、もし東経180度より西にハリケーンが進んだ場合、つまり日付変更線を越えた場合は、その時点で台風と呼ばれ、「越境台風」となります。
台風にも越境があるとは、びっくりですが、まさしく現在発生している台風17号はハリケーンがやってきた「越境台風」。東から勢力を保ってやってきているのですから、今後の進路が気になるところです。
台風の最新情報はもちろん、台風の基本やしくみ、進路の見方などはtenki.jpのサイト「台風を知る」(関連リンク参照)にわかりやすく載っています。ぜひご覧いただき、知識を深めるとともに対策にもお役立てください。
明日も引き続き、台風マメ知識をお送りします。