ゲリラ豪雨の予測精度があがる?新型レーダー「MP-PAWR」とはPR

この新しい気象レーダーは、上空の雨雲の観測を瞬時に行うことができ、ゲリラ豪雨の予測精度も飛躍的にあがると言われています。現在は1機のみが試験運用中で、対象範囲は首都圏のみとなっていますが、将来的に全国に配備されることが期待されています。
そもそもレーダーとは?!
身近に感じる「レーダー」ですが、どのようにして観測や予測をしているかご存知ですか??

レーダーから発射された電波は、雨などの降水粒子にあたると跳ね返り、その反射してきた電波をレーダーで受信することで、その存在と距離を測るというしくみになっています。
これは「やまびこ」と近い原理と言えます。向かいにある山にむかって「ヤッホー」というと、声が戻ってくるのと同じです。
新しい気象レーダーは何がすごいの??
◆ マルチパラメータ(MP)
マルチパラメータは、レーダーから2種類の電波を発射することで様々な観測データが得られることを意味しています。
電波は「波」というだけあって、真っ直ぐではなく波状となって空気中を進みます。このレーダーからは、進行方向に対して上下に波打つものと左右に波打つものの2種類の電波が発せられています。
2種類の電波があると観測精度があがるのは、雨粒が落下してくるときの形に関係しています。雨粒は落下中に空気の抵抗を受け、下が平らで横に広がった(扁平)形状となり、さらにこの現象は雨粒が大きいほど顕著になります。2種類の電波を使うことで上下と左右の大きさの違いを測定でき、それによって雨粒の大きさをより正確に観測できることから、高精度な雨量データの取得ができるようになるわけです。

一度に多方向(主に上下方向)に向かって電波を発射することができるレーダーのことです。
現在の主な気象レーダーは「点」に向かって電波を発射しているため、対象の範囲を観測するために10分程度の時間を要していましたが、このフェーズドアレイレーダーは「面」に向かって電波を発射するため、同様の観測が30秒~1分にまで短縮されました。観測時間が短くなることでよりリアルタイムな予測ができるようになるため、ゲリラ豪雨の高精度な予測を可能にするというわけです。

『tenki.jp Tokyo雨雲レーダー』でできること

1分ごとの実況が確認できることで近づいてくる積乱雲の状況が把握でき、急なゲリラ豪雨への対策に役立てることができます。また、20分先までの精度の高い予測も合わせて確認できるため、このあとの行動の参考にも利用いただけます。
また、これまでにあまり見ることのなかった雨雲のなかの様子を断面図として見られるようになります。この機能をより実用的に利用できるよう、鉄道路線を切り口として表示しています。地上では小雨でも、上空で強い雨が観測されていれば、それがいずれ地上まで落下してくると予測することができます。実際に乗車中の時には、降車する駅での雨の状況を確認する方法としても便利です。
※ 対象の鉄道路線は、JR山手線、JR総武線、東京メトロ丸ノ内線、東京メトロ有楽町線の4路線となっています。
『tenki.jp Tokyo雨雲レーダー』ご利用上の注意点
現在、MP-PAWRは埼玉大学(さいたま市桜区)に設置された1基で試験運用を行っており、観測範囲は埼玉大学を中心とした半径およそ60km圏内に限定されています。また、レーダ付近の高層建造物などの影響により、その後方で観測ができず、観測範囲であっても一部MP-PAWRの性能が十分に発揮されないエリアがあります。このため、実況・予測とも降水が弱く表現されたり、凡例の連続性に違和感がある表示となったりするケースがあることにご留意ください。
また、レーダのメンテナンス等に伴って観測が停止すると、その期間はアプリの情報更新も停止いたします。レーダは不定期にメンテナンスを実施するため、ご利用の際は、画面上部に表示されるデータの時刻をご確認ください。
MP-PAWRの試験運用期間の変更などにより、急遽サービスを一時休止や終了することがあります。ご理解、ご了承の上、ぜひご活用ください。
※ MP-PAWRは内閣府が主導するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)において開発された試験運用中の気象レーダーです。なお、『tenki.jp Tokyo雨雲レーダー』で使用するMP-PAWRのデータは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)の協力を得ています。
※『tenki.jp Tokyo雨雲レーダー』は、2021年12月1日をもってサービスの提供を終了いたしました。ご利用いただきありがとうございました。