部屋と部屋の温度差を小さくして、家全体を暖かくしよう
2021年12月20日
今年の冬は、西日本を中心に寒くなりそう
寒い地域ほど、住宅の断熱効果が高い?
グラフの横軸は、各都道府県の県庁所在地における月平均気温の最も低い月の値を表しています。多くの地域で2℃から8℃ですが、二重サッシや複層ガラスの窓が設置されている割合は10%から20%と低く、寒い地域ほど、窓の断熱性能が高いことが分かります。
住宅の断熱効果を高める方法にはいくつかありますが、例えば、窓に断熱シートを貼ったり、カーテンを閉めたりすることで、部屋の中の暖かい空気を外へ逃がさないようにする効果があります。また、冷たい空気は部屋の下の方にたまりやすいため、エアコンの風向を下向きに設定するだけでも、部屋全体を効率よく暖めることができます。ちょっとした工夫で室温を調節できますので、ぜひ参考になさってください。
生活の様々な場面でヒートショック対策を
一方、「廊下やトイレ、洗面所等を暖房して暖めておく」は21%と少なくなっています。廊下やトイレ、洗面所なども、家の中では寒いと感じる方が多く、暖房の効いた部屋との温度差が大きい場所です。入浴時はもちろんですが、廊下やトイレなどでもヒートショックに気をつけましょう。トイレに行く時はカーディガンなどを羽織ったり、トイレの床にマットを敷いて足元を暖かくしたりするとよいですね。
ヒートショックとは、「暖かい部屋から寒い部屋への移動など、温度の急な変化が体に与えるショック」のことです。こうした変動は心臓に負担がかかるため、心筋梗塞や脳卒中につながる恐れがあり大変危険です。ヒートショックを防ぐには、部屋と部屋の移動時の温度変化を小さくすることが大切です。できるだけ、家全体を普段生活している部屋と同じくらいの温度にしておくようにしましょう。WHO(世界保健機関)では、健康を守るための安全でバランスのとれた室内温度として、冬季の室温を18℃以上にすることを強く勧告しています。家全体の温度を18℃以上にすることを目安にして、生活の様々な場面でヒートショック対策を心がけていただければと思います。
日本気象協会では、ヒートショックの知識や対策をより多くの人に知ってもらうため、ヒートショックの啓発プロジェクト「STOP!ヒートショック」をサポートしています。また、日本気象協会は東京ガスと共同開発した「ヒートショック予報」について、tenki.jpでも提供していますので、ぜひご活用ください。
<注1>
「平成30年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)
<注2>
「STOP!ヒートショック」プロジェクトが実施したインターネットによるアンケート調査
「ヒートショックに関する意識・実態調査」(2021年3月11日~3月15日)
(出典)
・消費者庁「冬期に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_042/assets/consumer_safety_cms204_20201119_02.pdf
・WHO "WHO Housing and health guidelines" (2018)
・一般社団法人日本サステナブル建築協会「住宅の断熱化と居住者の健康への 影響に関する全国調査 第5回報告会」(令和3年1月26日)
・政府広報「交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202111/1.html
・「STOP!ヒートショック」
https://heatshock.jp/