エルニーニョ現象とは 発生時は冷夏や暖冬になりやすい 台風傾向など日本への影響を徹底解説
エルニーニョ現象が発生すると日本は冷夏や暖冬に
そもそも、エルニーニョ現象が発生した際の日本の天候はどのような特徴があるのでしょうか。
エルニーニョ現象が発生すると、西太平洋熱帯域の海面水温が低下し、西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が不活発になります。
日本付近では、夏季は太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、気温が低く、日照時間が少なくなる傾向があります。特に、西日本日本海側では降水量が多くなりやすいです。
冬季は、西高東低の気圧配置が弱まり、気温が高くなる傾向があります。
つまりエルニーニョ現象が発生すると、日本付近では冷夏・暖冬になりやすいです。
反対に、ラニーニャ現象発生時は、暑夏と寒冬になりやすいです。
ラニーニャ現象については、別の記事でも解説していますので、ぜひご確認ください。
■ラニーニャ現象とは 発生時は猛暑や大雪など極端な天気傾向に 日本への影響を徹底解説
https://tenki.jp/suppl/r_anzai/2023/11/16/32263.html
エルニーニョ現象とは 定義について解説

エルニーニョ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象のことをいいます。逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれています。
それぞれ数年おきに発生する現象ですが、エルニーニョ現象とラニーニャ現象は常に起こっている現象ではなく、エルニーニョ現象が起こっている時、ラニーニャ現象が起こっている時、そのどちらも起こっていない通常の状態の時があります。
エルニーニョ現象が発生するメカニズム

海は深さによって水温が変わるため、海の上の方の海水面は太陽からの日射や空気の温度を受けて暖かく、それらが届きにくい海の深い所には冷たい水があります。貿易風によって海水面の暖かい水が風で押し流されると、その空いた場所に冷たい水が沸き上がってきます。
貿易風が何らかの原因で弱まると、普段は西側に押し流されていた暖かい海水が東側に広がります。更に、東側で湧き上がっていた冷たい海水の湧き上がりが弱まり、南米沖の海水温が通常より高くなります。
このようなメカニズムで、太平洋赤道域の日付変更線から南米沖にかけて、海面水温が通常より高くなり、その状態が1年以上続く現象をエルニーニョ現象と呼びます。
反対に、太平洋赤道域の日付変更線から南米沖にかけて、海面水温が通常より低くなりその状態が1年以上続く現象をラニーニャ現現象と呼びます。
なお、エルニーニョ現象が発生した際は日本では冷夏や暖冬になりやすいと冒頭で解説しましたが、このように日本から遠い赤道付近で起こった海の現象が日本にまで影響を及ぼすには長い時間がかかるうえ、様々な大気現象の影響も受けながら日本の点呼に影響します。そのため、これらの日本への影響はあくまでも傾向であり、エルニーニョ現象が発生しているので必ず日本は冷夏・暖冬になるわけではありません。
エルニーニョ現象時の台風の傾向

エルニーニョ現象が発生すると、太平洋高気圧の勢力が弱まる傾向があります。台風は、太平洋高気圧に沿って移動する傾向があるため、秋は台風が日本付近へ近づきにくくなります。
一方で、エルニーニョ現象発生時の秋は、台風の発生場所が通常よりも南東にずれる傾向があり、台風が日本へ接近する際は、海上を進む距離が通常時より長くなるため、強い勢力で接近しやすくなります。
海上は、台風のエネルギー源となる暖かく湿った空気が多いため、台風が暖かく湿った空気をとりこむ量が通常より多くなります。そのため、日本へ台風が接近する場合は、勢力が強い状態の台風になりやすいのです。
勢力の強い台風が接近すると、災害が発生する可能性も高くなりますので、エルニーニョ現象発生時も台風災害への備えが必要です。