二十四節気の「霜降」とは?冬が近づくころの暦や気象の知識をまじえた七十二候など解説

この記事では、「霜降」の意味や時期、気象の知識をまじえた七十二候、木枯らし1号の基準、過ごしかたについて解説します。
「霜降」とは?

期間でいうと、10月23日から、次の二十四節気「立冬」の前日、11月6日までが「霜降」にあたります。
「霜降」は、霜が降り始めるころという意味で、秋が一段と深まり、朝晩の冷え込みは一層強まっていきます。
また、「霜降」は、秋の最後の節気です。北日本や山間部では暦通り、霜が降りるような冷え込みになり、東日本や西日本でも年によっては木枯らしが吹いて、冬が近づいていることを感じます。「霜降」の次の二十四節気は「立冬」で、暦の上では冬の始まりです。
なお、「霜降」の日にちは太陽の動きによって決まっているため、一日程度ずれることがあり、2026年は10月23日、2027年は10月24日です。
「霜降」は3つに分けられる

「霜降」の七十二候を、気象の知識をまじえて紹介します。
霜始降(しもはじめてふる)10月23日~10月27日頃
霜がはじめて降りるころという意味。
霜が降りやすいのは、晴れて風の弱い夜。放射冷却の影響です。夜間晴れると、地面付近の熱が雲に遮られることなく、どんどんと空へ逃げていくため、気温が下がります。さらに、風が弱いと、冷えた空気が周りの空気と混ざりにくいため、気温は下がりやすくなります。
この時期は、移動性の高気圧や帯状の高気圧に覆われて晴れる日が多く、放射冷却により北日本や山間部では霜が降りるくらいの冷え込みになります。朝日が差して、霜(氷の結晶)がキラキラと輝いて見える光景は、とても美しいものです。
霎時施(こさめときどきふる)10月28日~11月1日頃
ふいに降っては止む、通り雨のような雨が降り始めるころという意味。
この霎(こさめ)は、弱い雨をあらわす小雨(こさめ)とは異なり、通り雨を意味しています。冬の季語である時雨(しぐれ)のことを指します。
時雨は、晩秋から初冬にかけて、西高東低の冬型の気圧配置になり季節風が吹くとき、日本海側や山沿いの地域、本州の内陸部の盆地でよく見られます。
晴れたり雨が降ったりと天気は変わりやすく、虹が発生することが多いです。「時雨虹」と呼ばれ、この時期の風物詩となっています。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)11月2日~11月6日頃
もみじや蔦(つた)が色づき始めるころという意味。
気象庁では紅葉日を観測していますが、その標本木(※)となるのは主にいろはかえでです。いろはかえでは東北地方南部から九州地方の山地に広く自生する落葉樹で、各地の公園や庭園に植えられています。いろはかえでが生育しない地域では、やまもみじ、おおもみじ、いたやかえでを観測しています。
北海道をスタートした紅葉前線は、東北地方北部を南下中。関東地方から西の地域では、ふもとの紅葉はまだ先でも、山では紅葉が進み、見ごろを迎えるスポットが出てくるころです。
※標本木とは、気象庁が定めた観測する対象の木のこと。
<参考>
気象庁資料|かえでの紅葉日
https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/kaede2010.pdf
「霜降」は木枯らし1号の基準に?
気象庁では、東京地方と近畿地方のみ、その季節に初めて吹く木枯らしのことを、木枯らし一号として発表しています。発表基準は、地域によって異なります。
東京地方…「10月半ばから11月末にかけて、西高東低の冬型の気圧配置となった状態で、最大風速が8m/s以上の西北西~北風が吹く」
近畿地方…「霜降から冬至(12月22日頃)にかけて、西高東低の冬型の気圧配置となった状態で、最大風速が8m/s以上の北よりの風が吹く」
このように、近畿地方では、「霜降」が木枯らし1号の発表の基準になっています。
「霜降」の過ごしかた

「霜降」のころになると、急に冷え込みが強まることがあります。上着やコート、暖かい部屋着や寝具、暖房器具の準備など進めておきましょう。空気が乾燥しやすくなるので、加湿器を使用したり、肌のお手入れは保湿を心がけたりしてください。
旬の食べ物を取り入れる
寒暖差や空気の乾燥により、風邪をひきやすくなる時期です。風邪予防には、柿やしょうがなど旬の食べ物を取り入れるのがおすすめ。
柿は、「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、たくさんの栄養が含まれており、その一つであるビタミンCは風邪をひきにくくする働きがあるとされています。しょうがは、血行を促進し、体を温めて代謝を高める作用があります。どちらもこの時期にぴったりの食材です。
<参考>
JAさいたま
https://www.ja-saitama.or.jp/wp/?p=393
JAグループ
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=39
紅葉狩りや読書を楽しむ
北の地域や山から木々が色づき、美しい紅葉を楽しむことができます。見ごろのスポットを調べて、紅葉狩りに出かけましょう。
また、10月27日~11月9日は読書週間にあたります。日が短くなり、家で過ごす時間も増えていくなか、暖かいものを飲みながらゆっくりと読書を楽しむのもいいですね。