大人になってはじめてわかる⁉「サンタクロースを信じること」の本当の意味

「サンタクロースって、いるの?」と、子どもに聞かれたら

もし、子どもに「サンタクロースって、いるの?」と聞かれたら、あなたはどう答えるでしょうか。「本当はいないのだから、いるというのは良くない」、「サンタクロースの話をするのは、子どもをだますことになるのではないか」。日々厳しい現実に直面している大人からすると、たしかに、これはもっともな意見かもしれません。でも、安心してください。「サンタクロースがいる」ということは、決して子どもをだますことではないのです。
「ふしぎの住める空間」を、心にもつということ
「心の中に、ひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間をつくりあげている。サンタクロースその人は、いつかその子の心の外へ出ていってしまうだろう。だが、サンタクロースが占めていた心の空間は、その子の中に残る。この空間がある限り、人は成長に従って、サンタクロースに代わる新しい住人を、ここに迎えいれることができる。」
この「心の空間」は、サンタクロースという目に見えないものを信じることによってつくられる、想像力のキャパシティといえるかもしれません。魔法使いや妖精、言葉を話す動物、タイムマシーンなど、サンタクロース以外にも、実際には目に見えない「ふしぎなもの」が大好きな子ども時代。空想物語やおとぎ話を読みふけって、登場人物になり切ってわくわくした記憶。ふしぎなものをたっぷり心の中に蓄える空間をもつことこそ、私たちがサンタクロースを大切にすべき理由なのですね。
サンタクロースが去った後に、残してくれる宝もの

「のちに、いちばん崇高なものを宿すかもしれぬ心の場所が、実は幼い日にサンタクロースを住まわせることによってつくられるのだ。」と、松岡さんは記しています。
遠い昔に去ってしまったサンタクロースは、大切な宝ものを心の中に残してくれました。あなたの心の空間には、いま何が宿っていますか。
参考文献
松岡享子 『サンタクロースの部屋 子どもと本をめぐって』こぐま社 2015
引用
松岡享子 「サンタクロースの部屋」朝日新聞 1973